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インドネシアでの1日結核対策セミナーでの研修内容の概略

 

WHO結核対策本部のスピナッチ博士
WHOの新しい結核戦略であるDOTS戦略の意義について強調。DOTSはDirectly Observed Treatment,Short−courseの頭文字を取ったもので、1995年中頃からWHOの結核対策本部で、結核対策の中核として服薬の重要性を強調するために用いられてきたが、1996年に入ると、今まで結核対策のパッケージと称していた五つの施策をDOTS戦略というようになり、現在WHOが行っている結核対策の代名詞として用いられている。
その内容は次のとおりである。
1)結核対策を重点施策とする国の決意の表明。
2)呼吸器有症状者の喀痰の塗抹検査による結核患者の発見
3)標準化された処方による短期化学療法。特に初期の2ヵ月はDOTSの励行による確実な服薬。抗結核薬の確実な供給体制の整備。
4)結核患者を登録し、定期的に報告する体制の整備。
5)コホート調査による治療成績の確認と必要な場合の患者管理の改善。
この五つを一まとめにして採用することを求めており、2000年までに発見された塗抹陽性の新患者の85%を治癒させることができる体制の整備が目標である。

 

IUATLD代表パッカリ博士
現在WHOの専門家としてジャカルタに駐在中の女史は、IUATLDからの依頼で代表として講演することを引き受け、スピナッチ博士が述べた戦略を実施する上で必要な患者の登録、管理、報告をする体制の具体的な内容、コホート調査の行い方と、それを利用する患者管理の改善の仕方などについて講義した。

 

島尾の講義
アジア各国が結核対策に開業医師などの民間の協力をどのように求めるかについて苦労しているのが現状なので、先ずインドのウプレカー博士がインドの実状を研究した論文の内容(別添)を要約して紹介した。
その後で、日本が1951年に本格的に結核対策を始めた時に、どのようにして開業医を中心とする医療機関の協力を求め、それに成功したかという日本の経験を詳しく紹介した。(資料は別添)

 

和田博士の講義
DOTS'の中心となる短期化学療法について、その有効な理由と目本を含む世界各国での経験を紹介した。(資料別添)

 

 

 

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